502

2023年世界10大政治リスク

事務所

2023年世界10大政治リスク

「世界10大政治リスク」は毎年1月、国際政治学者イアン・ブレマーが1998年に米国で設立した政治リスクコンサルタント会社ユーラシア・グループが発表しています。

ユーラシア・グループは、戦争や政情不安も含め、マーケットに影響を与える可能性のある政治リスクを分析し、機関投資家や多国籍企業にアドバイスしています。

毎年1月に開催しているBIPセミナーで「世界10大政治リスク」を紹介し始めた頃には「イアン・ブレマーって誰」という反応でしたが、2011年に「Gゼロ」時代到来を指摘したことで一躍メジャーな存在になりました。

「世界10大政治リスク」は的中する項目も多く、2022年は1位に「中国ゼロコロナ政策の失敗」を挙げ、経済が混乱し、市民の不満が広がると予測。これも的中しました。

4位では「ロシアがウクライナを巡って欧米と対立」と指摘していましたが、その1ヶ月後に侵攻が始まりした。

これは8位に挙げた「力の空白地帯(G0社会では混乱や紛争が起きがち)」という事項も間接的に該当しています。

また、10位に挙げた「トルコ」。国内の混乱で政治が動揺し、国際的な不安要素と指摘していましたが、ロシアのウクライナ侵攻で武器提供者、仲介者として重要な役割を担うようになりました。別の意味でリスクとなっています。

さらに2位の「テクノポーラー」では、巨大IT企業による支配を懸念。少し角度は違うものの、スペースX社スターリンク(コンステレーション衛星)がウクライナの善戦に寄与していること、つまりロシアという国家をも翻弄する存在に浮上している点は注目に値します。

7位に挙げた「グリーン政策vsエネルギー政策」。ウクライナ戦争によるエネルギー危機によってグリーン政策追求が困難化している事態は、まさしく的中しています。

さて、2023年です。1位「ならず者国家ロシア(Rogue Russia)」、2位「最大化する習権力」、3位「テクノロジーによる社会混乱」、4位「物価高騰の波」、5位「追いつめられるイラン」、6位「エネルギー危機」、7位「途上国への成長打撃」、8位「米国の分断」、9位「デジタルネイティブ世代の台頭」、10位「水不足」です。

「ならず者国家ロシア」では、苦戦し、孤立するロシアが核兵器やサイバー攻撃を用いて欧米諸国への脅しをエスカレートさせるリスクを指摘。

欧米からの武器供与を背景にウクライナの防衛能力が高まり、ロシアは軍事的に追い詰められていると分析。偶発的事態や誤算による核使用リスクは1962年キューバ危機当時よりも高まると警鐘を鳴らしています。

2位では、中国習近平国家主席への権力集中リスクを指摘。異例の3期目続投を決めた習主席は毛沢東以来の「比類なき権力」を掌握した一方、反対意見を圧殺し、大きな間違いを犯すリスクが高まっていると指摘しています。

昨年のランキング1位だった「中国ゼロコロナ政策失敗」に関して「決められた時と同様に独裁的に終えられた」と揶揄。独裁による恣意的決定や政策の不安定化を懸念しています。

3位は「人工知能(AI)による偽情報」が起こす社会混乱リスク。AIの進化とソーシャルメディアの普及が重なり、フェイクニュースや陰謀論が拡散されやすくなっていると指摘。スペインやパキスタンの総選挙で顕現化することを予測しています。

4位は「物価高の影響」。世界の中央銀行がインフレ抑制に向けて金融引締を余儀なくされ、世界は景気後退に追い込まれるとしています。

5位は「追いつめられるイラン」。女性弾圧等を巡って抗議デモが激化し、政府がデモ参加者を支援する国々に対して暴挙に出るリスクを指摘しています。

個人的に興味があるのは、9位「デジタルネイティブ世代の台頭」。経済も産業も政治も、デジタルネイティブ世代の台頭によってさらに変革が加速化するでしょう。

企業、社会、国家とも、デジタルネイティブ世代を活かせる場合は発展する確率は高く、活かせない場合はガラパゴス化し、進化から取り残されそうです。

(了)



関連する記事はありません。

 menu LINK