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人工知能(AI)の歴史とロボット

大塚耕平

メルマガ11月後半号は多忙のため、とうとう配信を断念。396号と次号(397号)は気分転換にAIに関する情報をお伝えします。AIと聞くとロボットをイメージしがちですが、それはあくまで外形上の話。AIの核心部分はコンピュータです。そのコンピュータもルーツを辿ると計算機(器)。今日のAIの系譜を知るためには、コンピュータ(計算機)、ロボット、そしてAI、それぞれの歴史を知ることが大切です。そして、その3者が重なっている部分が、一般的にイメージし易いAI搭載のロボット。AIはますます進化し、次のシンギュラリティ(技術的特異点)をもたらす可能性が高まっています。


1.第4世代コンピュータ

AIとは切っても切り離せないのがコンピュータとロボット。そもそもコンピュータがなければAIは誕生していません。そして、AIが人間の代わりを果たすことを最もイメージさせるのがロボットです。

コンピュータの起源はローマ時代。古代の計算機、計算器が徐々に発展して機械式になり、やがて電子化され、今日のコンピュータに進化しました。

古くは「アバカス」と呼ばれるローマ時代の算術器具である「ローマ算盤(そろばん)」。紀元前150年頃の古代ギリシャでは「アストラーベ」と呼ばれる計算機が製作され、「最古のアナログコンピュータ」とも言われています。

中世になると、スコットランドの数学者、物理学者のジョン・ネイピアが乗算(掛け算)と除算(割り算)のできる計算器「ネイピアの骨」を考案。1620年代には計算尺が発明され、乗算や除算が迅速に行えるようになりました。

17世紀のフランスの哲学者ブレーズ・パスカルは数学者、物理学者でもあり、「パスカライン」と呼ばれる計算機を作りました。

ドイツの哲学者、数学者であるゴットフリート・ライプニッツは「パスカライン」を改良し、「段付歯車機構」を用いた計算機を開発するとともに、2進法による計算を提唱。

チャールズ・ザビエ・トーマスが1820年頃に機械式計算機「アリスモメーター」を開発し、世界で初めて量産。

日本では、発明家・矢頭良一が自動算盤を開発し、1903年に特許取得。200台以上を政府や軍が購入しました。

20世紀入り後、機械式計算機の性能が向上し、やがて電動式のキャッシュレジスター、会計機等が開発され、それらを操作する人のことを「コンピュータ(計算手)」と呼ぶようになったことがコンピュータの語源のようです。

1930年代頃(第1次、第2次世界大戦の戦間期)からフリーデン計算機、マーチャント計算機、モンロー計算機等の量産機械式計算機が普及。

原爆製造のマンハッタン計画においては、物理学者リチャード・ファインマンの指揮下に大勢の女性数学者がコンピュータ(計算手)として動員され、原爆製造のための計算・解析に従事したそうです。

戦後、1961年には世界初の完全電子式卓上計算機「アニタ」が開発、販売されました。

この間、1880年代末、米国の発明家ハーマン・ホレリスが機械で読み取り可能なデータ記録方法を発明。当初は紙テープに記録しましたが、やがてパンチカードに発展。穴を開けるキーパンチ機とそれを処理するタビュレーティングマシンが発明されました。

これらの発明は機械式計算機やその後の電子式計算機にも使用され、現代の情報処理技術やコンピュータの発展につながっていきました。

1911年、ホレリスの会社を含む4社が合併して「コンピューティング・タビュレーティング・レコーディング社(CTR社)」が発足。1924年には「インターナショナル・ビジネス・マシン社」すなわち「IBM社」に社名変更しました。

第1世代に分類されるコンピュータは真空管を使用。1946年、米国ペンシルベニア大学でジョン・モークリーとジョン・エッカートが開発した「ENIAC(Electronic Numerical Integrator and Computer)」が世界初の電子式汎用コンピュータです。

1955年頃からコンピュータの素子が真空管からトランジスタに変わり、第2世代に移行。第2世代に属する「IBM1401」は1960年から64年までに10万台以上生産され、全世界のコンピュータ市場の3分の1を占めました。

1959年、テキサス・インスツルメントのジャック・ギルビーとフェアチャイルド・セミコンダクターのロバート・ノイズの2人が別々に集積回路を発明し、コンピュータは第3世代に移行。

1971年、インテルが世界初の商用マイクロプロセッサ「4004」を発売。マイクロプロセッサはコンピュータの演算機能を担う半導体チップのことであり、CPU(中央演算装置)とほぼ同義語。集積回路を多層的に活用した構造であり、マイクロプロセッサを使ったコンピュータは第4世代に分類されます。

その後のコンピュータの処理能力と記憶容量の向上は目覚ましいものの、その基礎となっている大規模集積回路(LSI)や超大規模集積回路(VLSI)の技術は基本的にマイクロプロセッサを継承し、現在のコンピュータも第4世代に属します。

日本では1982年から第5世代コンピュータの開発プロジェクトが行われましたが、この動きはAIを巡る攻防と関連しています。第3項(ダートマス会議)でお伝えします。


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