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日米地位協定と六本木ヘリポート

大塚耕平

1. パトリオット・エクスプレス

日米地位協定は日米安保条約第6条に基づいて1960年(昭和35年)に締結。1952年(昭和27年)に旧日米安全保障条約3条に基づいて締結された日米行政協定を継承しています。

日米地位協定の具体的内容や運用については、月2回開催される実務者会議である日米合同委員会で決められています。

日米地位協定は国際法的には条約に該当します。日本で犯罪を行った米兵や軍属に対して日本の警察権や裁判権を行使できない根拠となっており、明らかな不平等条約。米国は同盟国ではありますが、見直しが必要です。

駐留米軍の人数は現在54,529人(うち沖縄28,265人<51.8%>)。在日米軍基地の面積は、263,192千平方メートル(うち沖縄184,961千平方メートル<70.3%>)。

いずれも、平成25年12月末(つまり、今から5年前)のデータですが、これが最新。防衛省によれば、平成26年以降、米側から情報提供を拒否されているそうです。信じられませんが、防衛省はそう述べています。

しかし、そもそも人数は、日米地位協定によって軍人・軍属は外国人登録義務がないため、正確に把握できません。

日本への出入国に「パトリオット・エクスプレス(在日米軍基地を経由する米空軍チャーター便)」や軍港を使用すると、出入国管理及び難民認定法の対象外。

軍人IDカードを保持していればパスポート不要。犯罪歴があっても入国可能。基地以外に居住している場合は把握不能。その人数は、在留外国人統計に含まれていません。

過去、駐留米軍及び関係者による事件・事故の度に、日米地位協定の見直しが取り沙汰されてきました。特に沖縄で頻発していますが、本土でも起きています。

古くは1950年代、日米合同委員会が飲酒運転事故を「公務中」として日本の警察権行使を認めなかったり、日本の警察権・裁判権行使を重大事案に限定し、問題化しました。

1974年の「伊江島住民狙撃事件」では、「公務外」であった容疑者に事後的に公務証明を発給し、日本の裁判権を強引に米側に移管。

1975年、牧港補給基地で環境基準の8000倍の六価クロムが検出された際には、在日米軍は事実関係を認めず、基地労働者(日本人)の健康被害等の調査にも協力せず。

1995年、米海兵隊兵士3名が12歳の女子小学生を集団強姦した沖縄米兵少女暴行事件。実行犯3人は日本側に引き渡されず。

2002年、窃盗容疑で逮捕された米兵が「急使」(米軍クーリエ)の身分証明書を保持していたため、釈放。

同年、在日オーストラリア人女性が横須賀で空母「キティホーク」乗組員に強姦され、容疑者は事件発覚前に海軍当局によって名誉除隊。早々に米国に帰国。

2004年、沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落。米軍が現場を封鎖し、日本は警察権を行使できず。米軍が設定した事故現場の規制線内は米軍基地の扱いという拡大解釈。

2008年、万引きで現行犯逮捕された海兵隊員の家族を、米軍が身柄を拘束し基地内に連行し、その後解放。

2013年、AP通信が情報公開請求によって、2005年からの性犯罪処分者中、開示された244人の3分の2は刑事罰を受けず、降格等の人事処分のみだったことが判明。

沖縄県では、1972年(昭和47年)の本土復帰から2017年(平成29年)末までに米軍人等による刑法犯は5,967件。実に様々なことが起きています。

同期間の航空機関連事故は738件。日米地位協定に基づく航空特例法により、米軍機は航空法の最低安全高度規制(第81条)、や迷惑飛行規制(第85条)の対象外。オスプレイの墜落・部品落下、CH-53Eの不時着・炎上・部品落下等の事故が頻発。普天間第二小学校や緑ヶ丘保育園への部品落下は記憶に新しいところです。

日米地位協定は締結されて以来、一度も改定されていません。日本政府が米側に見直しを求める気配が全くない中、2000年(平成12年)に沖縄県が11項目の見直しを日米両政府に要請。2017年(平成29年)には、同要請以降の状況を踏まえ、新たな見直し項目を追加して再要請。沖縄県の孤軍奮闘が続いています。

事件・事故以外の問題もあります。米側車両は「軍務」証明があれば、有料道路通行料等は日本政府が負担。この制度が濫用され、米関係者の私用車や団体旅行にも使用。自動車取得時の車庫証明を「保管場所は基地内」と強弁して証明を提出しない事案など、様々なことが起きています。基地内日本人職員には、労働基準法関連規定も適用されていません。

こうしたことは全て日米地位協定に由来し、上述のとおり、その具体的内容は日米合同委員会が所管。同委員会には日本の政治家は参加せず、日本側代表は外務省北米局長、米側代表は在日米軍司令部副司令官。

月2回、協議を行っており、開催場所は1回は「ニュー山王ホテル」、もう1回は外務省が設定した場所です。


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