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 異常な金融政策とシムズ理論・ケルトン理論

  1.   1. 大根役者
  2.   2. ケルトン理論(MMT)
  3.   3. シムズ理論(FTPL)

今日は平成の大晦日。明日は令和の元旦です。バブル崩壊で始まった平成経済史。都銀12行、長信3行、信託7行の22行。全て、合併・倒産等で名前が変わり、原形をとどめていません。異常な金融政策も常態化。出口が見えません。自然災害の多かった平成と回顧されていますが、経済災害、政策災害という観点からも検証が必要です。


1.大根役者

日銀による異常な金融緩和が始まって丸6年以上が経過。「マネタリーベースを2年で2倍にするとインフレ率が2%になる」と大見栄を切ってのスタートでした。

マネタリーベースは目標の2倍を遥かに超え、既に4倍以上。金融緩和の行き過ぎと長期化に対する懸念が高まっています。

大見栄を切ったひとりは岩田前日銀副総裁。「2年で2%を達成できなかったら辞任する」と豪語していましたが、5年の任期中に未達成のまま、堂々と退職金を受け取って遁走。

もうひとりの見栄切り役者の黒田総裁。先週25日の金融政策決定会合で、短期金利マイナス0.1%、長期金利ゼロ%程度の金融緩和を「少なくとも2020年春頃まで」続ける方針を決定。記者会見では「それより先でもかなり長い期間にわたって継続する」と発言。

同日発表された「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、それでも2021年度のインフレ率(消費者物価指数上昇率中央値)は1.6%の見通し。

黒田総裁は、長期間に亘り異常な金融緩和を継続することをコミットメント(約束)したことについて「政策効果をより一層高める意味がある」と説明。効果よりも副作用が懸念される中で、効果が出ているかのような表現は茶番、不誠実です。

さらなる異常な金融緩和及びその長期化は、金融機関の収益悪化や市場機能の低下といった副作用を拡大させ、修復不能の事態にひた走っています。

日銀もそのことは認識しているからこそ、異常な金融緩和の長期化に伴う副作用を和らげる施策も決定しました。

日銀は財政赤字の2倍の国債を毎年購入し、既に国債発行残高の4割強を保有。銀行が保有する国債残高は、黒田総裁が登場する前の4割まで低下しました。

市場では日銀による大量買入れで国債が足りず、市場取引に影響が出ています。そのため、日銀が資金供給する際に受け入れる担保の要件緩和を決定。

ETF(上場投資信託)も年間約6兆円購入しているため、現在は時価ベースで約28兆円保有。ETFの約8割を日銀が保有している異常さです。

このペースが続くと来年末には日銀が日本株の最大株主に浮上。異常な金融政策が異常な資本主義を生み出しています。

市場のETF枯渇は証券会社による売買を困難にするため、日銀保有のETFを証券会社に貸し出す制度も新設することを決定。

大見栄を切ってスタートした異常な金融緩和でしたが、今や大根役者の感を否めません。客にウケないので、熟度の低い代わりの演技を次々と繰り出しています。気分転換に大根役者の語源を調べてみました。

大根は滅多に食中り(しょくあたり)しない食材であることから、当たらない役者のことを大根役者と言うようになったとする説。

役を外されることを「舞台を下ろす」と表現するため、「おろしがね」を用いて大根をすり砕く「大根おろし」にかけて大根役者という言い方が生まれたとする説。

演技が下手だと「人」の役が得られず、大根を連想させる「馬の脚」役を当てられることから転じて大根役者と言われるようになったとする説。

下手な役者は素人(しろうと)同然、あるいは下手な役者は白粉(おしろい)を多用するという文脈から、「白い」大根にかけて大根役者となったとする説。因みに、下手な役者の登場で場が「白ける」の「白」の由来も同じだそうです。

六代目尾上菊五郎が弟子に対して「大根はうめえ(美味え)ぞ、おめえは大根にもなってねぇ」と言ったことから生まれたとする説。

大根役者の語源にもいろんな説がありますが、異常な金融緩和が有効であること、さらに続ければいずれ効果が出ること、インフレ率2%が適切であること、等々の根拠を度々質問していますが、黒田総裁から説得力のある説の答弁を一度も聞いたことがありません。

連休明け、5日9日の財政金融委員会で改めて質問してみます。

さて、日銀が迷走する中、米国では異常な金融緩和を是認するMMTという理論が論争になっています。日本でもMMTに便乗する向きがありそうです。


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