430

公立・公的病院の再編・統合とその課題

大塚耕平

 公立・公的病院の再編・統合とその課題

  1.   1. 2025年問題と2040年問題
  2.   2. 合わせ技1本
  3.   3. 5つの論点

度重なる台風、豪雨により、お亡くなりになった方々のご冥福をお祈りしますとともに、被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げます。今日は地元で陸上自衛隊第10師団の創立記念式典及び訓練展示がありましたが、災害派遣の最中、お祝いムードも自粛。災害や豚コレラ対応に当たっている隊員及び関係者各位に敬意を表します。立法府も行政府も、復旧、復興に全力を尽くさなくてはなりません。


1.2025年問題と2040年問題

9月26日、厚労省が全国の公立・公的病院(以下、公共病院)1455のうち、再編・統合が必要と考える424病院(全体の29.1%)のリストを公表しました。

公共病院の総数は1652。そのうち高度急性期・急性期病床を有する病院が1455です。

今回の対応の背景は、2025年(令和7年)の実現を目指す「地域医療構想」。2014年(平成26年)に成立した「医療介護総合確保推進法」によってスタートしました。

「2025年問題」は団塊世代全てが後期高齢者となる時期への対応、さらに「2040年問題」は高齢者数が絶対数で最多になる時期への対応です。

地域医療構想は2025年を見据え、病床数適正化、医療機能の連携・分化、縮小・撤退を含む再編・統合を模索。各地域の高齢化に見合った地域医療を実現することを企図しています。

多くの公共病院が赤字体質となっていることから、厚労省は、公共病院は同じ地域内の民間病院が担えない機能・役割に重点を置くことを標榜。

これを受け、各都道府県は2016年(平成28年)度末迄にそれぞれの地域医療構想の計画を策定しました。

全国を339の「区域(原則は2次医療圏、三重県のみ例外)」に分けて必要病床数を推計。高度急性期、急性期、回復期、慢性期ごとに、過剰病床の他機能転換、在宅医療への移行等を期待しました。

地域医療構想の計画に沿って、各地に設置された「地域医療構想調整会議(以下、調整会議)」が具体案を検討。

2018年(平成30年)度末までに「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」を策定。2025年の地域医療構想実現に向けた各地の具体的方針が報告されました。

報告された内容を集約すると、公共病院の2025年度急性期病床数見込み数は、現在と比べて微減または横這い。事実上の現状追認に留まっています。

厚労省は2013年に全国で135万床あった病床を2025年には119.1万床に減らす意向。しかし、2018年時点で5.5万床が過剰。現在の計画のままでは、2025年の病床数見込みは121.8万床で2.7万床過剰。

特に、高度急性期、急性期病床が過剰。今後、高齢化に伴って必要数が増える回復期、慢性期病床への転換は立ち遅れています。

中でも、高齢者のニーズが高いリハビリ向けは現時点で20.4万床不足。病院・病床機能の見直しは喫緊の課題です。

なぜ、こうした状況が続くのか。それは、高度急性期、急性期の診療報酬が高く、公共病院の経営上の観点から、回復期、慢性期への転換が進みにくいからです。

地域医療構想の制度化から5年以上経過したものの、公共病院の再編・統合に関する具体的議論を行っているのは339地域中わずか24地域。議論は停滞。そこで、今回の統合・再編対象病院の公表に至りました。

病院の存廃は地域住民にとって死活問題。病院の統合・再編、縮小・撤退は、医療過疎、地域荒廃を加速させることから、病床数削減ありきの病院名公表や、地域の実情を無視した選別方法等に批判が噴出しています。

因みに、愛知県は9病院が対象となりました。列挙しておきます。

津島市民、あま市民、木曽川市民、愛知県心身障害者コロニー中央、みよし市民、碧南市民、中日、国立病院機構東名古屋、ブラザー記念の9病院です。


 次のページ2.合わせ技1本


関連する記事はありません。