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ツキディディスの罠

大塚 耕平

ツキディディスの罠

2.第2世代

米シリコンバレーでキャリアをスタートさせ、中国に戻って起業するというのが典型的「第2世代」タイプ。既に巨万の富を得ている起業家が多数誕生。以下、代表的な4人です。

打倒アリババを掲げるのは「美団点評」の王興。1979年生まれ。清華大学、米デラウエア大学で電子工学を専攻し、2004年、博士課程の途中で中国に戻って起業。

米フェイスブックの成功モデルを研究し、2005年、大学内SNS「校内網」を立ち上げ。2006年、「人人網」と名称を変え、中国版フェイスブックを生み出しました。

2007年の中国版ツイッター「飯否網」に続き、2010年には「美団網」を開設。米グルーポンを模倣して共同購入型クーポンサイトを運営し、成功しました。

2015年、「美団網」と「大衆点評」が合併、飲食店・商品評価サイト「美団点評」を創業。2019年、「美団点評」は配送分野に進出し、ウーバーイーツを模倣した出前サービス「美団配送」創業。無人配送、非接触デリバリー分野に進出し、コロナ禍で拡大中です。

ネット通販大手「ピン多多(ピンドゥオドゥオ)」の創業者、黄×(コリン・ホアン)は1980年、アリババ本拠地の浙江省杭州市生まれ。浙江大学卒業後、ウィスコンシン大学でコンピューター科学を専攻。(「ピン」は手偏に「井」、ホアンの二文字目は山偏に「争」、いずれも日本の漢字表記にはありません)。

米留学中、マイクロソフト米中両拠点でインターンシップを経験。卒業後はマイクロソフトに就職せず、成長途上であった未上場のグーグルに入社。

2006年、グーグルの中国事業立ち上げのために母国に派遣されたものの、翌2007年に同社を退職。ECサイト運営会社、オンラインゲーム会社等を次々と創業。

2015年、「ピン多多」設立。「SNS機能を備えたショッピングサイト」というコンセプトで成功。ネットショッピングをする消費者に対して、商品について他の消費者と情報交換し、一緒に商品を購入すると割引が受けられる共同購入システムで成功。

「ピン多多」は中国版LINE「WeChat」に自社アプリを埋め込む戦略が奏効。利用者数は7億人を超え、アリババに肉薄しています。

トランプ米大統領の標的になっている動画投稿アプリ「TikTok」を運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)創業者は1983年、福建省生まれの張一鳴(チャン・イーミン)。

南海大学で電子工学、ソフトウエア工学を専攻し、卒業後に企業向けIDアクセス管理システムを開発。しかし、当時の中国には需要がなく、最初の起業は失敗。

2006年、旅行検索サイト「Kuxun(酷訊)」に就職し、エンジニアとして研究開発を担当。自分の出張に際して列車の切符をインターネット予約するための自動検索、通知システムを作成。それが、その後のビジネスに役立ったと語っています。

2008年、マイクロソフトに転職。2009年、不動産検索エンジン「99fang(九九房)」を設立。2012年、「バイトダンス(ByteDance)」創業。「Toutiao(今日頭条)」というスマホアプリをリリースし、90日で1000万人ユーザーを獲得。

2017年にリリースした「TikTok」は2018年に若年層に大流行。2019年の広告収入はテンセントとバイドゥを凌駕。日本でもApp Storeから配信される無料アプリのダウンロード数ランキングで2018年第1位となりました。

タクシー配車サービス「DiDi」を運営する滴滴出行(ディディチューシン)創業者も1983年生まれの程維(チェン・ウェイ)。2005年、北京化工大学を卒業してアリババに入社。

2011年、程維は営業担当として多数の法人顧客と人脈を構築。さらにアリババの支払事業部門「支付宝網絡技術」(後のアリペイ)幹部となり、独立に向けた経験を積みました。

2012年、退職してタクシー配車サービス会社「小桔科技」を設立。AIを活用した配車アプリ「滴滴打車」を作成し、2012年9月に運用スタート。

2014年、「滴滴打車」は約300都市をカバーし、利用タクシー運転手数100万人、乗客ユーザー数1億人、1日の配車回数500万回を突破。同年、テンセントを含む複数企業から総額1億18百万ドル(約124億円)の出資を受けました。

2016年には米国ウーバーの中国事業を買収。日本でもソフトバンクとの合弁会社を設立し、昨年、サービスを開始しています。


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