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世界と教育

大塚 耕平

世界と教育

2.残り100秒とババ・ヴァンガ

その後、ソ連が核実験に成功し、核兵器開発競争が始まったことを悲観して4分短縮して残り3分(1949年)。米ソ両国が水爆実験に成功した1953年には2分になりました。

科学者によるパグウォッシュ会議が開催されるようになり、米ソ国交回復が実現すると5分戻って7分(1960年)。さらに米ソが部分的核実験禁止条約に調印して12分(1963年)。

しかし、フランスと中国が核実験に成功し、第3次中東戦争、ベトナム戦争、第2次印パ戦争が発生すると再び7分に短縮(1968年)。

米国が核拡散防止条約を批准すると3分戻って10分(1969年)。米ソがSALT(第1次戦略兵器制限交渉)とABM(弾道弾迎撃ミサイル)制限条約を締結して12分(1972年)。

ところがその後、米ソ交渉が難航し、MIRV(複数核弾頭弾)配備、インドの核実験成功によって3分短縮されて9分(1974年)。

米ソ対立激化、国家主義的地域紛争の頻発、テロリストの脅威拡大、南北問題、イラン・イラク戦争等によってさらに短縮されて7分(1980年)。

軍拡競争に加え、アフガニスタン、ポーランド、南アフリカ等における人権抑圧等も反映して短縮が進み残り、4分(1981年)。さらに米ソ軍拡競争激化で3分(1984年)。

ところが、米ソ中距離核戦力(INF)廃棄条約締結で3分戻り、6分(1988年)。湾岸戦争はあったものの、冷戦終結でさらに4分戻って10分(1990年)。ソ連崩壊で7分戻って17分(1991年)。過去最長となって、最も人類滅亡の危機が遠のきました。

しかし、そこからは短縮の一途。ソ連崩壊後もロシアに残る核兵器の不安で14分(1995年)。インドとパキスタンが相次いで核兵器保有を宣言して9分(1998年)。

米国同時多発テロ、米国ABM条約脱退、テロリストによる大量破壊兵器使用の懸念から7分(2002年)。北朝鮮核実験、イラン核開発、地球温暖化進行で5分(2007年)。

オバマ大統領による核廃絶運動で1分戻って6分(2010年)となったのも束の間、核兵器拡散の危険性増大、福島原発事故を背景とした安全性懸念から再び5分(2012年)。さらに気候変動や核軍拡競争のため3分(2015年)。

そしてトランプ大統領が登場した2017年。残り時間が少ない中で、30秒短縮されて残り2分30秒となり、トランプ劇場がスタート。

翌2018年、「会報」の科学安全保障委員会は「冷戦時よりも危険な状態」と認定し、前年からさらに30秒短縮して2分。1953年の過去最短、過去最悪に並びました。

北朝鮮やイラクの核兵器開発が露呈したうえ、気候変動問題も深刻化する中でトランプ大統領がパリ協定離脱方針を発表したことなどが影響しました。

2019年は残り2分に据え置かれたものの、科学安全保障委員会のメンバーは「もう手遅れだ、みなさんさようなら」との絶望的コメント。

米国は11月4日にパリ協定正式離脱を表明。それに先立つ8月2日、中露に対抗して、米国は中距離核戦力(INF)廃棄条約も脱退。

そして2020年1月23日、残り時間はとうとう秒単位で表現される段階に入り、「残り100秒」と発表されました。

昨年の世界の展開は記憶に新しいところです。何と言ってもコロナパンデミック、米国大統領選挙、そして香港騒乱もありました。

2021年1月27日、残り時間は100秒に据え置かれましたが、「パンデミック危機において、各国政府は科学的助言を無視し、人々の健康を守ることに失敗した。核兵器や気候変動という人類の脅威に対処する準備もできていない」との声明も発表されました。

かつて一世を風靡したノストラダムス(1503年生、66年没)の大予言に照らすとどうなるか興味深いところですが、ブルガリアの大予言者ババ・ヴァンガ(1911年生、96年没)は21世紀初頭に第3次世界大戦が勃発すると予言しています。

「ババ」はブルガリア語で「おばあちゃん」の意味。欧州では信奉者が少なくありません。子供の時に竜巻に飲み込まれ、激しい砂嵐で両目を失明。以来、予知能力を発揮。生前本人は「不思議な生き物が未来の出来事を教えてくれる」と話していたそうです。

2021年は「世界10大政治リスク」の顕現化で、来年の残り時間がさらに短縮されることのないようにしたいものです。日本としても貢献しなくてはなりません。


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