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ロビンフッター相場の深層

大塚耕平

ロビンフッター相場の深層

3.コロナジレンマ

非バブル派は、株価上昇に「持たざるリスク(FOMO:Fear of Missing out<取り残される恐怖>)」を感じる人が増え、買いが買いを呼ぶと囃します。典型的な楽観論です。

実際に起きることは、グリーンスパン元議長の言うように終わってみないとわかりません。今は要因整理が重要です。

現在の相場に世界的低金利が影響していることは否定できません。利回りを求める投資マネーは行き場を失い、株やジャンク債に向かっています。

米国マネーサプライ(M2)は平時は成長率並みの増加率ですが、現在は前年比20%以上の高い伸び。FRBのこの量的緩和が米国株価を上昇させ、そのミラー(鏡)相場として日本株価も上がっています。日本ではさらに日銀が株(ETF)を直接買っています。

昨年末の経済誌に掲載された2021年末株価予想は、上値3万4800円、下値2万3500円。結果は神のみぞ知る世界ですが、変動要因について整理しておきます。

第1にPER(株価収益率)。米国では経験的にS&P500株価指数のPERが20倍を超えると高値圏となり、その後の調整が発生する確率が高いと言えます。

日経平均3万円超の2月15日終値で、予想利益(日経発表)に対する日経平均PERは23.2倍、東証1部全体で25.5倍。約25倍なので、米国基準に照らすと警戒が必要です。

株価理論値(P)は、利益成長率、割引率、1株当たり利益(E)から計算できますが、さらに分解すると、最終的には実質(リスクフリー)金利、実質成長率、リスクプレミアムの3要素で説明できます。

PER以外では、益利回り(E/P)5%(PER20%相当)、リスクプレミアム5%なども警戒基準になります。

第2に社債市場。各国でコロナ禍のために債務返済や利払いができない企業が増加。2020年は世界社債発行額が過去最高となった一方、債務不履行(デフォルト)に陥った企業も前年の2倍に達しました。

今後社債利回りが上昇すれば、社債デフォルト、倒産が増え、経済低迷、株価下落のトリガーになるかもしれません。

市場調査企業QUICKの調査によると、世界の上場企業約3万4000社(金融除く)のうち、2020年に3年連続で債務及び利払いをEBIT(利払い・税引き前損益)で賄えない企業は26.5%と過去最高。トップは米国34.5%、中国も増加して11.0%、日本は低水準ですが9年ぶりに4%を超えました。

第3はコロナジレンマ。コロナ禍収束により、財政出動及び金融緩和が後退するとコロナバブル継続が期待できなくなり、社債バブルにも影響します。

市場はワクチンによるコロナ収束、経済回復を株価に織り込み済です。コロナの終わりが、株価上昇の終わりの始まりと言えます。

コロナ対策の経済政策が続く中で、ワクチン効果でコロナ収束が見通せるようになるタイミングが株価のピーク。そこから先は何が契機で急落しても不思議ではありません。

第4は米国ファンダメンタル。FRBは緩和継続方針を示していますが、日本よりも政策の正常化志向が強いため、経済指標が好転すれば方向転換を模索するでしょう。失業率5%割れ、インフレ率3%超、2年債・10年債利回り1.5%超等が判断基準です。

FRBの動きを予測する観点から、雇用統計とインフレに着目すべきです。非農業部門雇用者数前月比が20万人以上、3ヵ月で60万人以上増加すると、FRBは緩和是正が必要と判断する可能性があります。

また、コアPCE(食料及びエネルギーを除く個人消費支出)物価上昇率が持続的に2%を超える見通しとなれば、現在の金融緩和は維持できなくなるでしょう。

さらに、昨年4月に原油価格が一時マイナスになるほど急落したため、今年4月の前年同月比は急騰を免れません。つまり、4月の米総合物価指数はかなり高くなる可能性があり、こうした指標が契機になるかもしれません。

山高ければ、谷深し。89年バブル経験者としては、やはり不安を拭いされません。



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