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イベルメクチン

大塚 耕平

イベルメクチン

緊急事態宣言が解除されましたが、感染者は漸増傾向。宣言再々発令の判断は簡単ではありませんが、増え続けるようなら検討せざるを得ないでしょう。問題は判断基準。医療リソースの状況次第とも言えますが、どうも判断基準が一貫していません。加えて、情報開示、医学的・疫学的・科学的説明が不十分。日本の構造問題です。


1.ワクチン

緊急事態宣言が解除されました。東京五輪聖火リレーに合わせて無理に解除した印象ですが、緊急事態をずっと維持することにも無理があります。ワクチンと治療薬の普及で、社会全体としてインフルエンザ並みの抵抗力と治癒力を確保することが喫緊の課題です。しかし、日本のワクチン接種率はあまりにも低い。3月20日時点でわずか0.4%。イスラエルの接種率59.6%が最も高く、他の主要国は英国39.6%、米国23.7%、ドイツ8.6%、フランス8.3%などです。

そうした中、アストラゼネカが2900万回のワクチンを秘匿していたことが発覚。物議を醸しています。ワクチンは必要ですが、どうも製薬会社の思惑どおりの展開になっている気がします。こういう事実が出てくるとますます怪しい。

ワクチンについて整理してみます。ワクチンの始まりは1796年。英国人医師エドワード・ジェンナーが牛の乳搾りをする人に天然痘患者がいないことに着目。

乳搾りに従事すると牛痘に感染しがちですが、重篤化はしません。ジェンナーはそれが天然痘に罹らない原因と推察し、8歳の少年に牛痘を接種。病原体を体内に入れることが感染防止になることを確認。ワクチンの始まりです。以来、ワクチン開発は進み、製法によって複数の種類に別れました。現在は従来型ワクチンと新型ワクチンに大別されます。

従来型の第1は生ワクチン。天然痘ワクチンもこれです。感染予防効果が高いものの、生きたウイルスを接種するので、実際に感染し、副反応が生じ易いようです。

第2は不活性化ワクチン。生きたウイルスではなく、ウイルスを殺して(不活性化して)接種します。ウイルスを培養し、ホルマリン等で殺してから精製されます。インフルエンザワクチンはこのタイプ。副作用が少ない一方、免疫反応(感染防止効果)が弱いため、補助剤(アジュバンド等)を用いて効果を高めます。

第3は組換えタンパクワクチン。ウイルスそのものを培養せず、ウイルスの一部(精製されたタンパク質)だけを合成精製して接種。不活性化ワクチンと同様、免疫反応は弱い一方、副反応は起きにくいです。 従来型と異なる新型ワクチンは、ウイルスの一部であるタンパク質の「設計図」だけを人工的に精製して投与し、体内でウイルス成分を作らせ、免疫機能を刺激します。

第1はウイルスベクターワクチン。ベクター(運び屋)と呼ばれるウイルスに「設計図」であるDNA(デオキシリボ核酸)を注入したもの。 第2はDNAワクチン。「設計図」であるDNAにウイルス突起(スパイクタンパク質)を作る情報を組み込み、それを接種して細胞内に届けます。 第3はmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチン。やはりウイルスの「設計図」であるRNA(リボ核酸)を合成し、ヒトに接種します。

いずれも体内に入った「設計図」をもとに細胞内でウイルスの一部(精製されたタンパク質)を生成。免疫機能がそれに反応して抗体を作り、本物のウイルスが侵入した時にいち早く攻撃できる体制が構築されます。 遺伝子工学、遺伝子治療等の応用技術ですが、SARS、MERSが流行した頃から開発がスタート。しかし、SARS、MERSが収束し、症例数が減少したために中断しました。

新型ワクチン開発は将来のことと思われていた矢先に発生したのが今回のパンデミック。新型ワクチン開発が急務となり、これまでの蓄積技術がが実用化されました。2020年12月、世界初の新型ワクチンをファイザー、ビオンテックが製造。mRNAワクチンであり、米国が緊急使用を許可。

モデルナもmRNAワクチンです。人工合成されたRNAは壊れ易く、細胞に届きにくいため、脂質粒子で包んでカプセル状にして体内に届ける技術が使われています。アストラゼネカはウイルスベクターワクチン。 安全性が高いと言われるチンパンジーのアデノウイルス由来のベクターが使われています。


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