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インド型三重変異株

大塚 耕平

インド型三重変異株

2.E484Q+L452R

E484Qはスパイクタンパク質の484番目のアミノ酸がE(グルタミン酸)からQ(グルタミン)に置き換わったことを指す変異です。抗体から逃避し、ワクチン効果を低減させ、再感染リスクを高めると分析されています。英国型、南ア型、ブラジル型のE484Kは、EからK(リシン)に置き換わったものであり、同様にワクチンの有効性低下、再感染リスク増加等が懸念されています。詳しくはメルマガ前号をご覧ください。

E484Qの免疫逃避性については現在分析が進んでいます。実験室レベルでは、新型コロナに感染した人が持つ中和抗体による中和活性が低下したことが報告されています。

もうひとつのL452Rはカリフォルニア型等でも検出された変異です。この変異は、新型コロナに感染した人が持つ中和抗体の中和活性やワクチン効果を低下させることが懸念されています。また、感染力が高まるとの報告もあります。インドでは4月時点で、ゲノム解析が行われたうちウイルスの8割以上がインド型に置き換わっていました。全数調査ではありません。

東京大や熊本大等の研究チームは、インド型のL452R変異は日本人の6割が有する白血球HLA(ヒト白血球抗原)A24がつくる免疫細胞から逃れる能力があるという実験結果を報告しています。HLAは白血球の血液型と呼ばれるものです。

つまり、日本人に多い白血球型であるHLAA24の有する免疫機能が効きにくくなることを意味します。換言すると、6割の日本人がインド型に対して免疫低下の可能性があることを意味します。また上記研究チームは、L452R変異が人の細胞に付着しやすく、感染力が高いことも指摘しています。

上述のとおり、L452Rはカリフォルニア州で発見され、全米に拡大。直近のデータではカリフォルニア州の感染者の56%を占めており、日本でも3月に沖縄県で1例見つかっています。研究チームは、HLAA24が東アジア人に多いこと、カリフォルニア州は米国で最も東アジア人が多いこと等から、L452R変異は東アジア人の免疫から逃避するために発現したとも仮定できると指摘しています。日本で感染拡大すると厄介です。

HLAと言っても数万種類あり、今回はそのうちのHLAA24がL452Rに対して免疫力が弱いことが明らかになったものの、まだ試験管の中の細胞実験の段階。人間の体の中で実際にどんな反応が起きるかは完全には解明されていません。新型コロナウイルスが侵入しても、HLAA24以外の抗原が感染を防ぐ可能性もあります。

したがって、単純に日本人の6割の感染リスクが高まるとは言い切れないとの意見も聞きました。ケンブリッジ大学の研究では、ワクチンへの影響については、L452R等の変異によって、感染予防効果は6分の1から3分の1程度に減少するそうです。


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