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メタバース

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2.全真互聯網

「メタバース」はバブル状態という指摘もありますが、そうとも言い切れません。SFが夢見てきた技術が現実化し、定着するのか。興味深い局面を迎えています。

「メタバース」は、パソコン、パソコン通信、インターネット、スマホ、SNS等の登場のように、新たな技術普及の節目になる可能性が高いと思います。

技術のステージが変わるタイミングは、企業や産業や国家にとってチャンスであると同時に、取り残されるピンチでもあります。

日本では「中高年用SNS」と揶揄されるFacebookですが、利用者数30億人の巨大サービス。そのFacebookが「メタバース」企業への昇華を目指してリリースした「Horizon Workrooms」の動向には要注目です。

現在のところ、Workroomsはオンライン会議のVR版というべき存在ですが、これが普遍的なコミュニケーションツールになる可能性を感じます。

既に「メタバース」的インフラを提供している企業はFacebookだけではありません。いくつか整理しておきます。

2017年にリリースされ、人気のバトルロワイヤルゲーム「フォートナイト」を運営するEpic Games。「フォートナイト」の登録アカウント数は5億超と聞きます。「メタバース」に進化する可能性は大いにあります。

MicrosoftのMinecraft(マインクラフト)も特筆に値します。マインクラフトは3Dブロックで作られた仮想世界です。Microsoftが「メタバース」事業に進出する際の橋頭保になるでしょう。

米中対立の一方で、今年「メタバース」最大手と称される米ゲームプラットフォームROBLOXが中国に上陸。中国名「羅布楽思」として中国テンセントが国内配信を行っています。ROBLOXの運営会社は3月にNY市場に上場し、時価総額は500億ドル(約5兆円)以上に達しています。

当然、中国企業も併走。TikTokのバイトダンス(字節跳動)は4月、スマホゲーム開発企業「代碼乾坤科技(Code Veiw Technology)」に1億元(約17億円)を出資。SNS機能も有する「メタバース」REWORLD(重啓世界)をリリースしました。

当面の「メタバース」の主戦場はゲームとSNSです。テンセントが出資する次世代SNS「Soul」も「若者が交流するメタバース」と謳い、自分と趣味の合う同年代の友人を見つけて交流する「ソーシャルメタバース」というポジションを狙っています。

テンセントのポニー・マーCEOが提唱する「全真互聯網」というコンセプト。「現実世界の全てがインターネットに接続すること」を意味するそうです。

このように、中国ではバイトダンスとテンセントが「メタバース」参入に奔走していますが、既にゲームとSNSの双方で基盤を築きつつあるテンセントが先行しています。

テンセントはゲーム、SNSだけでなく、映画やライブ配信など数多くの分野に進出し、ほぼオールラウンダーに近づいています。

バイトダンスとテンセントは今年、中国最大手のVR機器メーカー「Pico Technology(小鳥看看科技)」の買収案件で競合。結局、バイトダンスが90億ドル(約1兆円)で獲得しました。

米中だけではありません。韓国通信大手SKテレコムは、7月にメタバース「ifland」を開設。「ifland」によるアバターミーティングは既に韓国の若者の間でかなり広がっていると聞きます。毎日何千もの仮想ルーム(ミーティング場所)が作られ、何万人ものユーザーが参加しているそうです。

これに先立つ5月、韓国政府は「メタバース・アライアンス」を立ち上げ、200以上の企業等が参加。SKテレコムもその1社です。

韓国政府(科学技術情報通信部)は「メタバース」産業において主導的ポジションを獲得することを国家戦略として掲げ、2022年の約605兆ウォン(約58兆円)の予算の中で、DX及び「メタバース」等の新産業育成に約9.3兆ウォン(約9千億円)を計上しています。

6月、韓国サムスンが「メタバース」ファンドを立ち上げ、投資資金が順調に集まっているそうです。7月のFacebookザッカーバーグCEOの「メタバース」企業宣言がそうした動きを後押ししています。


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