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インフレと円安

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3.苛政は虎よりも猛し

経済の先行きは不安ですが、年末ですから毎年恒例の干支(えと)の話で締めます。干支は十干十二支(じっかんじゅうにし)の組み合わせで決まります。

十干は「甲乙丙丁戊己庚辛壬癸」、十二支は「子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥」。したがって、「十」と「十二」の最小公倍数の「六十」でひと回り。六十歳になると自分が生まれた年の干支に戻るので「還暦」と言います。

干支は十干の「甲」と十二支の「子」の組み合わせである「甲子」がスタート。現在は1984年の「甲子」から始まった60年循環の中にあります。その60年前、1924年の「甲子」の年に建設されたのが甲子園球場です。

2022年の干支は「壬寅(みずのえとら)」。干支の組み合わせの39番目です。

「壬」は9番目。植物の成長過程に喩えられる干支の表現では、樹木から落下した種子の内部に新しい命が宿っている状態。次へと繋ぐものを育んでいます。妊婦さんの「妊」の字もこの「壬」に通じます。

「寅」の漢字の由来は「引く」「伸ばす」と同じニュアンス。草木が伸びていく様を表した漢字であり、天に向かって逞しく伸びる草木の姿は「寅」の勢いに通じます。

また、干支は「陰」「陽」の2つ、及び「木」「火」「土」「金」「水」の5つの性質との関連で様々な解説がなされます。陰陽五行説(陰陽思想及び五行思想)です。

水は木を育み、木は火の元となり、火は土を作り、土は金を含み、金が再び水を生む。「五行」の組み合わせにより「相生」「比和」「相剋」「相侮」「相乗」に分類され、相互に強め合ったり、弱め合ったりします。

陰陽五行では、十干の「壬」は「陽の水」、十二支の「寅」は「陽の木」で「相生」です。水の「壬」は木の「寅」を育み強化してくれる関係です。

「壬寅」は、「壬」が新しい命を孕み、「寅」が命を胎動させる意味をなし、潜在的な意思や力が一気に発動する様を表します。

干支では何やら良い話ばかりですが、経済の現状を考えると不安ですねぇ。最後に、これまた毎年恒例の「寅(虎)」に関わる諺(ことわざ)をご紹介します。

「騎虎(きこ)の勢い」とは、勢いや弾みがつくと途中では止められないことを指す喩え。インフレ、円安、金利上昇が「騎虎の勢い」では困ります。

「苛政(かせい)は虎よりも猛し(たけし)」は、悪政が人々に与える害は虎よりも恐ろしいという喩え。過酷な政治のこと。中国の泰山麓で家族を虎に食われて泣いていた婦人に「何故この国を出て行かないのか」と尋ねると「苛政がないからだ」と答えたという故事から生まれました。給料が上がらない経済はまさしく「苛政」です。

「虎の子」は非常に大切なものの喩え。社会の「虎が子」はまさしく若い世代、子供たち。「虎の子」を守るためにも「苛政」を改めることが2022年の最重要課題です。

「虎口を脱する」は危険な状態から逃れる喩え。給料低迷、物価上昇、円安、原油高、金利高、株価下落、経済破綻はいずれも「虎口」。2022年は「虎口」を脱する善政が必要です。

「虎穴に入らずんば虎子を得ず」は、危険なことをしなければ大きな成功は得られないという喩え。「お札を刷れば全て解決する」という元首相の主張は「虎口」を脱するための「虎穴」ではなく、底のない「闇穴」にすぎません。

「三人、市虎を成す」は、事実無根の風説も多くの人が同じことを言えば信じられるようになる喩え。「お札を刷れば全て解決する」という元首相の言説はその臭いがします。

あまりの愚策は経済の神様の「虎の尾を踏む」ことになります。経済を手品のように好転させる「虎の巻」はありません。給料を上げること、次世代を育てること、新しい産業や企業を育むことが王道です。

王道を進まずに「三人、市政を成す」ような言説に頼ることは「虎を野に放つ」かの如し。如何に元首相が強弁しようとももはや「張子の虎」です。

「暴虎馮河の勇(ぼうこひょうがのゆう)」は無鉄砲なことをする喩え。「暴虎」は素手で虎を討つこと、「馮河」は大河を徒歩で渡ること。「お金を刷れば解決する」との言説に頼る政策は「暴虎馮河の勇」が如し。

それでは皆さん、良い年をお迎えください。来年もよろしくお願いします。

(了)



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