478

No zero Covid

事務所

No zero Covid

あけましておめでとうございます。1月10日のBIPセミナーには多くの皆さんにご参加いただき、ありがとうございました。今年もどうぞよろしくお願いします。年初早々、核保有5大国が核戦争回避に取り組むことを確認する共同声明を発表。良い兆しというより、それだけ潜在的緊張感が高まっている証左です。昨日はトンガ沖で海底火山が爆発。今年も様々なことが起きると思いますが、内外情勢分析を目的とするこのメルマガが多少でもご参考になれば幸いです。

1.ノー・ゼロコロナ

「世界10大政治リスク」は毎年1月、国際政治学者イアン・ブレマーが1998年に米国で設立した政治リスクコンサルタント会社ユーラシア・グループが発表しています。

ユーラシア・グループは、戦争や政情不安も含め、マーケットに影響を与える可能性のある政治リスクを分析し、機関投資家や多国籍企業にアドバイスしています。

僕の年初のBIPセミナーでイアン・ブレマーを紹介し始めた2010年頃には「それ誰」という反応でしたが、2011年に「Gゼロ」時代到来を指摘したことで一躍有名になり、イアン・ブレマーは今やメジャーな存在です。

昨年は第1位のリスクにバイデン米大統領を意味する「第46代」を選び、トランプ支持者との分断リスクを指摘。その2日後(1月6日)、トランプ支持者による議事堂選挙事件が発生しました。

昨年の第2位は「コロナの影響長期化」。コロナ禍も丸2年が経過し、現にその影響は長期化しています。

さて、2022年の第1位は「ノー・ゼロコロナ(No zero Covid)」。中国が掲げる「ゼロコロナ(コロナ根絶、封じ込め)」政策の失敗による混乱を指摘しています。

中国は2月4日開会の北京冬季五輪を目指して「ゼロコロナ」政策を成功させ、世界のその実績を顕示することを企図していました。

ところが、昨年12月23日から西安市(住民約1300万人)でロックダウンが始まったほか、1月11日には安陽市(河南省)でもロックダウン開始。現在は天津市でもロックダウンが検討されています。

イアン・ブレマーは「ゼロコロナ政策」失敗によって、中国国内の政情不安、消費低迷、サプライチェーン(供給網)混乱の影響が世界に及ぶと指摘しています。

中国の1月11日の新規感染者数はわずか110人。毎日何10万人も感染している欧米諸国に比べると格段の少なさですが、それでも中国の「ノー・ゼロコロナ」政策の失敗を掲げる背景は何なのか。それは推測するしかありません。

イアン・ブレマーは中国政府の感染者報告数が正確ではないこと、つまり実際はもっと多くの感染者がいることを想定しているのかもしれません。

仮にこの推測が当たっているとすると、中国政府はなぜそのようなことをするのか。それは、習近平主席3期目入りの野望との関係です。

従来、中国国家出席は2期10年が上限でした。また、共産党幹部には「67歳以下なら留任、68歳以上なら引退」という定年制の不文律がありました。

2017年党大会では、習主席の後継者候補となり得る次世代実力者を政治局常務委員(最高指導部)に起用することを見送りました。

2018年の憲法改正では、2期10年とされていた国家主席の任期制限を撤廃。さらに、昨年6月15日、68歳の誕生日を迎えた習主席への定年制適用を見送りました。

もちろん主席在任中ですから任期満了までの続投は既定路線と言えますが、今年秋の全人代では3期目入りが確実視されています。

つまり、そのような状況下でコロナ対策における失政は許されず、「ゼロコロナ」の実現、北京冬季五輪の成功は必達ということです。

そのため、感染者数が実態より少なく公表されてきたこと、国民の間には不満が蓄積していること等々を、イアン・ブレマーは想定しているのかもしれません。

ちなみに、習主席3期目入りの見通しの中で注目されるのは、党序列2位の李克強首相の処遇です。

李首相は今年秋の党大会時点で67歳。従来的な慣行ではそこで引退となりますが、全人代常務委員長(国会議長に相当)等のポストに就くことも考えられます。

一方、李首相は習主席の対抗勢力でもあるので、続投させないならば、定年制慣行を適用して完全引退させるという展開もあります。もちろん、習主席には慣行は適用されません。

李首相の後継には、李氏と同じ共青団出身の胡春華副首相、習主席に近いと言われている李強上海市党書記、李希広東省党書記、陳敏爾重慶市党書記等の名前が上がっています。

しかし、いずれも60歳代。習主席3期目後の後継者にはなり得ません。2017年党大会と同様に、後継者候補となり得る次世代実力者を政治局常務委員に起用しなければ、3期目どころか、4期目以降、あるいは永世主席を展望していることが伺い知れます。


 次のページ2.テクノポーラー


関連する記事はありません。

 menu LINK