479

ステルスオミクロン株

事務所

ステルスオミクロン株

ウクライナ情勢が緊迫しています。北朝鮮は相次いでミサイルを発射。何やら不穏な国際情勢です。来週から北京五輪ですが、ウイグル問題や香港問題を鑑みると五輪開幕を祝福する気分になりません。世界に暗雲が広がっていると感じます。おまけにトンガ沖の海底火山爆発等、自然災害も気になります。コロナ禍も続き、何ともストレスの溜まる日常です。
現実を直視しつつ、今だからこそできること、この環境を有効活用することを考え、気分は明るく、前向きに職務に精励します。

1.デルタクロン株

感染ピークアウトが見通せない状況ですが、素人なりに巷間言われているオミクロン株の特徴や症状を整理してみます。

第1は発症までの日数。他の感染症、例えば麻疹は平均12日間。それに比べてコロナウイルスは感染から発症までが短く、デルタ株は10日弱、オミクロン株は約5日です。

第2は初期症状。オミクロン株は肺よりも喉に感染し、咽喉痛と無力症が顕著です。無力症は筋力低下または喪失による広範囲の衰弱状態を指し、著しい倦怠感と刺激に対する反応鈍化が特徴です。

第3は感染力と重症化リスク。咽喉で増殖するため咳等によって伝染し易い一方、喉等の上気道が感染の中心であり、肺への感染率が低いことから肺炎等による重症化リスクは低いようです。

第4は検査の困難さ。オミクロン株は抗原検査の検体採取方法によっては検査結果が変わる傾向があります。鼻咽頭スワブ、鼻腔スワブは陰性率が高く、口腔から検体を採取する中咽頭、扁桃腺等、咽頭スワブの場合は陽性率が高いようです。

ところで、今月前半、デルタ株とオミクロン株の両方の特徴を併せ持つ新たなウイルスが発見されたと報道されました。名付けて「デルタクロン株」。

デルタ株は重症化リスクが高く、オミクロン株は感染力が強いと指摘されています。その両方の特徴を併せ持つとは厄介な変異株です。

発見された場所は地中海に浮かぶ島国キプロス。発見したのはキプロス大学生命工学分子ウイルス学研究所。同大学コストリキス教授によると、報道時点でデルタクロン株の感染例は25件。軽症者よりも重症者から多く見つかったそうです。

デルタクロン株の遺伝子配列は1月7日にウイルス変異を追跡する国際データベースであるジーセイド(Gisaid)に登録されました。

報道当初、英国ウイルス学者トム・ピーコック博士が「研究室内のゲノム解析過程で発生したのではないか」と指摘。すなわち実験室でデルタ株とオミクロン株が混交した技術的ミス(テクニカルアーチファクト<技術的原因による不自然な結果>)の可能性を指摘。つまり、遺伝子塩基配列が人為的に乱されたということです。

一方、キプロス大の研究チームは技術的ミスという指摘を否定。一般的な変異発生過程はウイルス増殖時の遺伝子複製エラーに由来しますが、デルタクロン株は2つの変異株に同時感染した人間の細胞内で遺伝子組み換えに近い現象が起こったのではないかと推察。

キプロス大学は、デルタクロン株はオミクロン株に置き換わる可能性があると警鐘を鳴らしています。

その後、デルタクロン株の真贋論争、発生由来に関する論争は立ち消え、正体不明の状況が続いています。いずれにしても要注意です。

新型コロナウイルスは感染拡大過程で増殖中の遺伝子複製エラーを重ねて変異株を生んできました。そのうえ、変異株だけではなく中国武漢のオリジナル株も含め、未だにウイルスの起源や特性等、全容は解明されていません。

変異株同士が影響し合って新たな変異株が発生しても全く不思議ではありません。デルタ株、オミクロン株とも、他の株に比べて遺伝子複製に関与する部位に影響を与えるアミノ酸変異が多いのが共通点。構造が似ているので結合の可能性は十分あり、同時感染がデルタクロン株発生の契機と想像できます。

デルタクロン株の起源が人為的ミスか否かはもはや問題ではなく、実際に感染者から検出されているという事実こそが重要です。

過去の感染症でも、HIVでは2つの型に同時感染した患者が一定数いたそうです。インフルエンザもA型とB型の同時感染は時々発生します。

より症状の重いウイルスの影響を受けるため、インフルエンザA型B型同時感染の場合はA型の症状が出ますが、新型コロナウイルスのデルタ株オミクロン株同時感染の場合はデルタ株の影響が出やすいと推測します。

さらに、インフルエンザとコロナの同時感染「フルロナ」という造語も登場。1月10日の段階では世界保健機関(WHO)が否定したものの、その後、イスラエル、ハンガリー、スペイン、ブラジル、米国等でフルロナ患者が確認されています。

新型コロナの世界的流行で衛生意識が高まり、過去2年間インフルエンザは流行しませんでした。その結果、集団免疫力は低下。インフルエンザの流行リスク、重症化リスクは高まっていると言えます。デルタクロン株にフルロナ、これからの動向に要注意です。


 次のページ2.ステルスオミクロン株


関連する記事はありません。

 menu LINK