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オリガルヒとサハリン

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オリガルヒとサハリン

ロシア軍がキーウ(キエフ改め)から撤退との報道。真偽のほどはわかりません。同時に、撤退後には多くの民間人の遺体が散乱し、ロシア軍は家々や遺体にまで地雷を仕掛けているとの情報もあります。空前絶後の残虐さです。プーチンの今後がどうなるかは見通せません。停戦に至っても、常に身の危険に備える生活が一生続くでしょう。国際社会の平和のために微力ながら何ができるか、自問自答します。

1.支持基盤の異変

プーチン大統領には3つの支持基盤があると言われています。

第1の基盤は「シロビキ」と呼ばれる軍、諜報、警察組織です。大統領自身がKGB諜報員だったほか、ソ連崩壊後にKGBの後継組織FSB(連邦保安局)長官を務めたことから、シロビキは大統領直轄組織となっています。

プーチン大統領は「チェチェン戦争」「ジョージア戦争」「シリア内戦介入」「クリミア併合」「ウクライナ内戦介入」「対IS」「カザフスタン民衆鎮圧」等、戦争や紛争介入の成果を誇って国内支持基盤を維持してきました。

ところがウクライナ侵攻の約1ヶ月前、「全ロシア将校協会」が「ウクライナ侵攻計画中止」と「プーチン辞任」を求める公開書簡を発表しました。つまり、支持基盤であるはずの軍将校たちが反旗を翻しています。

公開書簡をまとめたイヴァショフ退役上級大将はYouTubeに登場してプーチンを批判。書簡には「ロシアは間違いなく平和と国際安全保障を脅かす国のカテゴリーに分類され、最も厳しい制裁の対象となり、国際社会で孤立し、おそらく独立国家の地位を奪われる」と記されています。

諜報機関では、 プーチンにウクライナ情勢を報告する立場にあったFSB第5局ビセーダ局長が自宅軟禁されたと報道されています。

ロシア独立系メディアがFSB筋の情報として「第5局はプーチン氏に楽観的な情報を報告し、2~3日でゼレンスキー政権を打倒できるとの判断につながった」と伝えています。

第2の基盤は「オリガルヒ」と言われる新興財閥集団です。大統領就任以前から従っている「旧財閥」と大統領就任後に忠誠を誓った「新財閥」の2つに分かれています。

「旧財閥」は、プーチンが東ドイツでスパイ活動をしていた時期、あるいはサンクトペテルブルグ副市長時代に関係ができたグループです。国営石油会社CEOセーチンと国営ガス会社ガスプロムのCEOミレル等が代表的人物です。

「新財閥」はプーチンが大統領になる前の1990年代に台頭したグループ。「クレムリンのゴッドファーザー」ベレゾフスキー、「ロシアのメディア王」グシンスキー、「ロシアの石油王」ホドルコフスキーの3人が代表的人物です。

この3人は、2000年から03年にかけてプーチンと対立。ベレゾフスキーとグシンスキーは国外逃亡、ホドルコフスキーは2003年に逮捕されてシベリア送り。2013年に釈放され、国外に逃れました。「新財閥」の超大物3人の失墜は、他の財界富豪がプーチンに恭順を誓う契機となりました。

しかし、その「オルガルヒ」も経済制裁で甚大な被害を被っています。欧米諸国に保有する「オルガルヒ」の金融資産や不動産等を差し押さえる動きが広がっています。

そんな中、2020年ロシア1位の富豪、金属大手ノリリスクニッケルのポターニン会長が撤退外国企業の資産没収(国有化)を公然と批判。

「国を100年あまり逆戻りさせる措置」「1917年の革命以前の混乱した時代に逆戻りする恐れ」「今後数十年にわたって世界の投資家からロシアに不信感が向けられる結果になる」と述べたそうです。

第3は「メディア」です。プーチンは2000年代にロシアの3大テレビ局「ロシア1」「1カナル」「NTV」の支配に成功しました。どの局もプーチン批判は全くしません。

しかし、その「メディア」でも反プーチンの動きが広がっています。3月14日、国営テレビ「1カナル」のニュース番組中、同局の女性スタッフが「反戦プラカード」をもって画面に現れた映像が世界で放映されました。

この女性スタッフはYouTubeに投稿した動画の中で「今ウクライナで起きていることは犯罪だ。ロシアは侵略国だ。責任はプーチンにある」「1カナルで働き、クレムリンのプロパガンダを行ってきたことはとても恥ずかしい」「テレビでウソをつくことを許してきたことが恥ずかしい」「ロシア人をゾンビ化することを許してきたことが恥ずかしい」などと語っています。

同じように考えているメディア関係者は少なくないようです。テレビ局のキャスターや記者が続々と辞職し、国外に脱出しているそうです。

プーチンを支える3つの支持基盤「シロビキ」「オリガルヒ」「メディア」の異変に注目です。情報収集と分析が必要です。


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