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最恵国待遇撤回

事務所

最恵国待遇撤回

ロシアの目と鼻の先にNATOが配備されていることを「逆キューバ危機」と指摘する専門家もいます。ゼーリック元世銀総裁は「米英中蘭4ヶ国による日本の経済封鎖が第2次大戦の遠因になった」という趣旨の発言をしました。そして、本日はロシア黒海艦隊旗艦モスクワが沈没。ウクライナは撃沈と発表。露タス通信は「北欧2国がNATOに加盟したらバルト海に核兵器配備」と報道。事
態が激化・拡大・長期化することを前提に備えなければなりません。

1.ミール

西側諸国は、ロシア中央銀行が諸外国に保有する外貨凍結、ロシア主要銀行の国際金融取引制限等の対露制裁措置を科しています。4月5日、EUはロシアからの石炭輸入禁止等の追加制裁も発表しました。

さらに、プーチン大統領の娘2人、ラブロフ外相の妻や娘等の米国内資産を凍結。新興財閥オリガルヒ制裁からさらに踏み込んでいます。

こうした制裁の影響で、ロシアの2021年実質経済成長率は4.7%でしたが、2022年はマイナス11.2%に落ち込む見込みです。

2月24日、プーチン大統領による「特別軍事作戦」開始発表直後には、預金引出しのために銀行店舗やATMに行列ができ、食料等を買い溜めに走る市民もいました。しかし今では落ち着いており、混乱は一時的でした。

外国企業やブランド店の事業休止も相次ぎました。しかし、ロシア撤退と報じられた企業の過半は一時休業です。例えばIKEAは国内17店舗を閉じましたが、実は休業は5月31日まで。1万5000人の従業員の雇用も継続。ロシアから撤退はしないとしています。マクドナルド等の他企業も同様です。業務停止を発表して1ヶ月以上経過したナイキ、ニューバランス、ギャップ等は営業を続けているそうです。

制裁で圧力をかければロシア国民が目を覚まし、反プーチン機運が高まり、戦争を止められると期待されましたが、現状、プーチン体制を脅かすほどの深刻な事態には至っていません。

富裕層はアラブ首長国連邦(UAE)等、主に中東諸国に制裁逃れの資産移転を進めています。

3月6日、VISAとマスターカードはロシアでの業務停止を発表しましたが、これは国を跨いでの使用が不可となっただけ。ロシアで発行されたカードは国内では有効期限まで使えます。

ロシア独自のカード決済システム「ミール(МИР)」も浸透しています。ミールは2014年のクリミア侵攻時の経済制裁で影響を受けたロシアが、欧米依存脱却を企図して創設した決済システムです。国内金融決済網や通信ネットワークも整備済みです。

ミールカードは1億1200万枚発行され、国内シェアは30%超。ロシア人がよく訪れるキプロス、トルコ、UAE等の約20ヶ国で使用可能です。

3月のインフレ率は15.7%になりました。もともとロシアのインフレ率は高めで、侵攻前の1月は8.7%、2月は9.2%であったため、国民はあまり気にしていないそうです。因みに2014年クリミア侵攻時は15.6%になりました。

1998年、2008年、2014年とロシアは何度となく経済危機に瀕しては乗り越えてきました。国民は今回のような状況に慣れています。

むしろ最近は反撃に出ています。例えば、国際宇宙ステーションISSへの協力を止める可能性に言及し、西側諸国とりわけ米国を牽制しています。

ISSの高度制御という重要な役割を担っているのはロシアの宇宙機関「ロスコスモス」です。NASAもISSの運営は米国だけでは困難と認めています。

2月下旬、同社社長ドミトリー・ロゴジン氏が「ISSが米国やカナダ、中国やインドに落下するのを誰が防ぐのか」とSNSに投稿。

さらにロゴジン氏は「制裁を無条件で解除しないならば、ISSを含む全共同事業で協力を止める」と明言。宇宙船ソユーズで米欧宇宙飛行士をISSに輸送することもできなくなります。

同社は米民間宇宙企業へのロシア製ロケットエンジンの供給停止も発表。欧州宇宙機関ESAの仏領ギアナにある発射基地からロシア人技術者50人以上を撤退。ESAは衛星測位システム「ガリレオ」や天文観測衛星「ユークリッド」の打上げ延期を余儀なくされました。

NASAはロシアの反発を受け「制裁下でも、米露の非軍事分野の宇宙協力は許容される」との声明を発表。主導権はロシア側にあります。

中国は今年中に独自の宇宙ステーション「天宮」を完成させます。ロゴジン氏は「天宮」と協力する可能性を示唆。中露は米主導の有人月面探査「アルテミス計画」に対抗し、2030年を目標に月面研究基地建設でも協力します。

米国は将来的に宇宙開発の主導権を中露に握られかねない状況にあります。


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